【解説】奥が深い所有格

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今日は所有格について解説します!

先日、仕事で所有格について調べていたのですが、調べているうちにどんどん深みにはまって、これは面白いと思いました。

細かいパターンが思ったよりだいぶ多く、自分の知識がいかに曖昧か思い知ったので、調べてわかったことをまとめます。

 

所有格の基本

 

まずは所有格の基本から。

 

  • 単数名詞の所有格→語尾に‘sをつける。

sで終わる単語にも適用されます。

Dog’s tail

My boss’s background

 

  • 複数名詞の所有格→sで終わる場合は‘のみ、s以外で終わる場合は ‘sをつける。

Ladies’ room

Men’s room

 

固有名詞の所有格

 

  • 基本的には一般名詞のルールを適用。

s, x, zで終わる単語も同様。

Dickens’s novels

Borges’s library

the Lincolns’ marriage(リンカーン夫妻なので複数)

the Williamses’ new house(ウィリアムズ家なので複数)

(The Chicago Manual of Style 7.16項より引用)

 

 

共有と個別所有

 

  • 共有を表すときは最後に、個別の所有を表す場合は両方に‘sをつけます。

 

Akiko and Ken’s father

明子と健の姉弟の父親

 

Akiko’s and Ken’s house

明子の家と健の家

 

基本ルールが適用されない場合

 

  • sで終わる普通名詞は基本的に‘sをつけるが、次に続く単語がsで始まる場合は、アポストロフィのみになる

 

✕ My boss’s success

〇 My boss’ success

 

✕ For conscience’s sake

〇 For conscience’ sake(便宜上)

 

古代ギリシャ人・ローマ人の名前

 

古代人の名前のルールは、アポストロフィだけ派と ‘s派に分かれています。

さらにはどちらでも良いと書いてあるサイトもありました。

 

The Chicago Manual of Styleには以下のように書かれていました。

Chicago no longer recommends the traditional exception for proper classical names of two or more syllables that end in an eez sound.

 

Euripides’s tragedies

The Ganges’s source

Xerxes’s armies

以前は2音節以上の古代人名は例外としてアポストロフィだけ派だったけど、今は‘s派という事ですね。

 

ロイヤル英文法には以下のように書かれていました。

ギリシャ・ローマなどの古典人名(特に2音節以上の語に多い):‘だけをつける。

Socrates’ death (ソクラテスの死)

Achilles’ tendon (アキレス腱)

*Venus, Zeusなどは‘と’sの両方がある。

 

ライティングの古典的テキストとして有名はThe ELEMENTS OF STYLEでは以下のように書かれていました。

Exceptions are the possessives of ancient proper names in -es and -is, the possessive Jesus’ , and such forms as for conscience’ sake, for righteousness’ sake. But such forms as Achilles’ heel, Moses’ laws, Isis’ temple are commonly replaced by

 

the heel of Achilles

the laws of Moses

the temple of Isis

こちらもアポストロフィのみを推奨していますが、ofを使って書き換えられることが多いと書かれています。

どちらか迷った場合はofを使った方が安心ですね。

 

ThomasやJamesだってモーゼの時代にもいたのにThomas‘sになる、Venusは現代でもいるのにVenus’なのはおかしいのでは?と書かれているサイトもありました。

バラバラで悩ましいのですが、個人的には同一文書内で表現が統一されていれば問題が無いと思います

色々なところの表現を引っ張ってくると、表記の揺れが生じてしまいますが、ルールに迷ったときはいったん調べて統一すれば質の高い文章が書けると思います。

 

持っている文法書やスタイルガイドを全て見てみましたが、所有格の説明は「ロイヤル英文法」が一番わかりやすかったです。

それ以外ですと、色々なパターンを網羅している石井孝之さんの「英語スタイルブック」もおすすめです。

 

以上、参考になれば嬉しいです。

読んでいただきありがとうございました。


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