技術文を英訳していて、訳しづらいなと思う単語の一つ、「退避」について説明します。
「データ退避」や「アームの退避」などでよく見る表現です。
一般的な退避の意味
一般的な意味の「退避」とは、その場所を退いて危険を避けることを意味します。
退避を辞書で調べて最初に出てくるのはevacuateですね。
Evacuate の意味は以下の通り。(Cambridge Dictionaryより)
・to move people from a dangerous place to somewhere safe(危険な場所から人を避難させる)
・to empty something of its contents, especially the bowels(胃や腸を空にさせる)
これは技術文の退避とは違うので注意しましょう。
データの退避
まずは技術文で出てくる「データ退避」。
データ退避とはデータが消えないように保存することやバックアップすることなので
- save data
- backup data
としています。
他にもデータを退避する方法はあると思うので、状況に応じて適切な表現を選んでください。
これぐれも「退避」に引っ張られてevacuate data などとしないように気を付けてください。
Ngramviewerでも調べてみましたが、evauate dataは0件でした。
アームなど干渉を避けるための退避
次はアームや軸などが干渉を避けるための退避。
使える表現は以下の2つ。
- retract
- retreat
この2つには以下のような違いがあります。
Retract: if part of a machine or an animal’s body retracts or is retracted, it moves back into the main part (LONGMAN dictionary)
Retreat: to go away from a place or person in order to escape from fighting or danger (Cambridge dictionary)
Retract: 決まった場所に戻る・格納する
The wheels retract after the aircraft takes off. (Cambridge Dictionaryより)
飛行機のタイヤが離陸した際に本体に収納されるイメージです。
Retreat: 危険を避けるためにその場所を離れる
和英辞典の表現をそのまま使ってしまいがちですが、英語と日本語は必ず対になるとは限りません。
内容を正確に表現できるよう、工夫しましょう。